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ウズベキスタンの旅(5)イスラム建築を訪ねて―生ける王の霊廟群

ソグト人の王からその名を取ったというアフラシャブの丘は、旧サマルカンドの町としてモンゴル軍によって破壊されるまでは何世紀もの間繫栄していました。発掘調査の結果、文化の痕跡が11層もなしているそうですが、現在は荒れ果て人気のない丘になっています。そのアフラシャブの丘の南麓にあるのが、シャーヒズィンダ(生ける王の意)で、ティムールにまつわる人々が眠る霊廟が並んでいます。

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ウルグベクが建てた門の上部を拡大しました。
アーチ上部の星のタイルの間には、ウルグべグ・メドレセにあるようなレリーフタイルがあります。門をくぐると天国への階段の途中にコシュ・グンバズ廟(15世紀)があります。

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こちらも最初の門と似たデザインですが、アーチ上部にはレリーフタイルはありません。アーチの縁の部分がクエルダ・セカ技法の花の模様になっています。

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拡大しています。
そして、階段を上がって、

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アーチをくぐると、

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そこは、様々な美しいタイルの、

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霊廟が並ぶ、

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パラダイスでした。

一つづつ正面から見ていきましょう。

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トゥグル・テキン廟(1376年)いきなり施釉彫文タイルです。

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拡大してみます。文様を深彫りして釉薬を掛けた手の込んだ技法があちらこちらに使われています。

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アミールゾダ廟(1386年)ティムールの部下の将軍の息子の廟。

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拡大してみると、クエルダ・セカも見られます。

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シリンベク・アカ廟(1385年)ティムールの妹を祀った廟。見事なモザイクタイルで埋め尽くされています。

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足が止まって中々次に進めませんが、

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次はシャーディムルク・アカ廟(1372年)。シャーヒズィンダで最も美しいと言われています。

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イスラム美術や建築、タイル関係の本で何度も見かけたのがこのファサードと、

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ドームの内側を飾るこの天井のタイルです。シャーディムルクは24歳の若さで亡くなったティムールの姪で、美貌の彼女を偲んで、入口の上には「貴重な真珠が失われ、ここに眠る」という言葉が書かれているそうです。

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内部も青いタイルが貼り巡らされています。

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こちらは誰の廟か不明です。

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こちらも不明です。

さらに奥へ進んで、

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最後のアーチの右側のドアが、クサム・イブン・アッバース廟(11世紀)とモスクの入口になっています。モンゴル軍来襲の際も壊されなかったので、サマルカンドで最も古い建物だそうです。

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内部の礼拝所です。

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ミヒラーブ部分です。青と緑と白が基調の美しいモザイクタイルです。
この先にも部屋があり、墓石も見られましたが、お祈りをする方々がいらしたので、写真は撮りませんでした。


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ティムールの妻クトゥルグ・アカの廟(1361年)と言われている廟です。

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細かい彫文のバリエーションが見事です。

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見えづらいですが、ティムールの妻トゥマン・アカの廟(1404年)です。

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深い碧のモザイクタイル。

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廟の並んだ道の突き当りにある、シャーヒズィンダで二番目に古いフッジャ・アフマッド廟(1350年)です。

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クエンカタイルもありますね。

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色釉の違いで文字が浮き上がって見えます。深く彫っていますね。クエンカタイルの中にさらに一つ一つ違う模様があります。

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細部を見出すと手の込んだタイルの数々にため息が出ます。ティムール朝時代のサマルカンドのタイル装飾技術の凄さを感じました。廟建築の装飾に凝縮されたタイルの美しさが、変わらず残ることを願います。



アフラシャブの丘から北東に約1km離れたところに、ウルグベク天文台跡があります。ウルグベク(1394~1449年)はティムールの孫で、天文学者として知られていましたが、どこに天文台があったは不明でした。1908年にロシア人の考古学者ヴィヤトキンによって発掘され、現在は丸い天文台基礎と六分儀の地下部分のみ残っています。当時は高さ40m、長さ63mという巨大なもので、これを取り囲む観測施設があったそうです。ウルグベクは恒星時1年間を365日6時間10分8秒と推測しましたが、今日の精密機器との誤差は1分にも満たないということです。

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この中を覗くと、

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六分儀の地下部分が見えます。

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すぐ横にある天文台関連の展示がある博物館。
次回はティムールの生まれ故郷、シャフリサーブスです。



最後に本日のタイルです。サマルカンドのタイルは様々な技法を駆使して、バラエティに富んでいて素晴らしいものでした。主にティムール朝時代の見事なタイル装飾を見ることが出来て幸せなサマルカンド滞在でした。

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by aozakuro | 2017-09-24 12:29 | | Comments(0)

タイル絵付け制作記録。時々陶芸、木工も。


by aozakuro